腎移植診療について更新しました。

2023.01.23その他

患者さんへ

慢性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群・腎生検

腎臓は、血液から老廃物をこし出し、尿を作る働きをしています。腎臓の中の糸球体という部分がその役割を担い、いわば“ざる”のような働きをしています。糸球体は、片方の腎臓だけで100万個あるとされています。
その“ざる”、つまり糸球体に病気がおこると、本来なら漏れてこない血液やたんぱく質が、老廃物と一緒に尿中に漏れてきてしまいます。
血尿やたんぱく尿がでてくるこの病気の種類は、頻度の高いものとして、慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群があります。
慢性糸球体腎炎は、慢性的に糸球体に炎症が生じている状態で、血尿やたんぱく尿を認めますが、症状はとくにないことが多いです。ネフローゼ症候群は、大量のたんぱく質が尿中から漏れてしまう状態ので、尿の泡立ちやむくみなどの症状をきたします。いずれも、長い経過の中で徐々に腎機能が低下していくことが多いとされています。
従ってこれらの病気は治療が必要ですが、その治療方法は原因によってさまざまです。
その原因を特定するために行うのが腎生検です。
腎生検は、うつ伏せの状態で行います。背中に超音波をあて、腎臓の位置を確認しながら局所麻酔注射を行い、腎臓に針を刺します。検査は1時間程度ですが、翌日まで丸一日ベット上の安静が必要となります。腎臓は血液がたくさん流れている臓器なので、生検後は腎臓の周囲に少量の出血を認めるのが通常ですが、出血が多い場合は輸血や外科的治療が必要になる場合がありますので、それを予防するために安静が必要となります。入院期間は数日から1週間程度になります。
腎生検の目的は、病気を診断することに加え、病気の程度や進行具合、今後の見通しを検討することにあります。これらの情報を総合的に検討し治療法を決定します。

慢性腎臓病

慢性腎臓病(CKD;chronic kidney disease)は,何らかの腎臓の障害が慢性的に持続している状態で,下記(1)で定義されています。
CKDは進行すると末期腎不全(腎臓の機能が極度に低下した状態)となり,腎代替療法(透析療法や腎移植)が必要となります。また,腎機能が低下するに従って心血管疾患を発症するリスクが高くなることが大きな問題と考えられています。
CKD患者数は世界中で増え続けており,日本では約1,330万人(成人の約8人に1人)と推定されています。その背景には,生活習慣病を基盤とした腎臓病の増加や人口の長寿化・高齢化があります。
近年では腎臓病の早期発見・治療が発展しているものの,腎臓が慢性的な障害を負ってしまうと「腎臓を治す」という特効薬は乏しく,進行を遅らせることがCKD診療の目標です。CKDの進行速度は原因疾患や合併症によって異なりますが,全体に共通する部分も多くあります。高血圧, 糖尿病, 蛋白尿, 肥満, 喫煙, 脂質異常, 高尿酸血症などCKDの進行を早める因子は多岐にわたるため, これらをコントロールするためには薬物治療だけでなく, 食事療法(食塩や蛋白質の制限)や生活習慣の改善も重要です. また, CKDが進行すると,体液の貯留(むくみ),腎性貧血,電解質異常(カリウム上昇,代謝性アシドーシス,リン上昇,カルシウム低下)といった症状が出てきますので,その管理も必要になります。

慢性腎臓病パス入院

CKDの治療では食事,生活習慣の改善も大切であり, 日常生活での注意点など患者さん自身が習得する必要のある知識がたくさんあります。当科では1週間(水曜から翌週火曜)のクリティカルパス入院で医師・看護師・栄養士・薬剤師による教育講義を受けて頂き,また同時にCKDの悪化因子や心血管病の合併についての精密検査を併せて行っています。

医療連携

CKD患者数は非常に多く,もともと糖尿病や高血圧で治療を受けておられる方での発症が多いため,CKDは「腎臓専門医」だけではなく内科医全般が診療する病気となっています。ただし,悪化因子の検査や食事制限の指導・評価など専門医が果たすべき役割も多くあります。 当科では医療連携を推進しており,安定期のCKDであればかかりつけ医での治療を継続していただきながら,2〜3ヶ月毎の外来受診で各種検査・指導を行っています。また,通院頻度や教育パス入院については,病状やご要望に合わせて対応しております。

末期腎不全

慢性腎臓病(CKD)が進行して,腎機能が極度に低下した状態を末期腎不全と呼びます.実際には患者さん個人によって異なりますが,腎臓の機能が5~10%程度まで低下すると,体のだるさ,食欲低下,むくみ,貧血の進行といった尿毒症症状が悪化するため,腎代替療法(腎臓のはたらきを代替する治療)が必要となります。
腎代替療法には,透析療法(血液透析と腹膜透析),腎移植があります。当科では患者様に十分な情報提供を行った上で,ご要望に応じて選択していただいています。

血液透析(HD;hemodialysis)

血液透析は,腕の血管(シャント)に針を刺し,ポンプを使って血液を体の外に取り出し,ダイアライザ(透析器)に循環させて浄化した後,体に戻す治療です。血液透析を行うには,「シャント」という血管を造る必要があります。慢性血液透析は,1回4~5時間・週3回,通院での治療が基本になります。近い将来に透析が必要と判断された時点で,シャント造設術を受けていただき,透析導入が必要な状態となったら,約2週間の入院で安全に透析を開始します。退院後は患者様のご希望される維持透析病院への紹介を行っています(当院では外来維持血液透析は行っておりません)。

腹膜透析(PD;peritoneal dialysis)

腹腔内に直接透析液を注入し,一定時間貯留している間に腹膜を介して血中の毒素や水分,塩分を透析液に移動させ,その後透析液を取り出す,という方法です。透析液を出し入れするためのカテーテルを留置する手術が必要です。
循環動態への負担が少なく,家庭で行う治療なので通院回数が少なくて済む(安定すれば月1回程度)ことなどがメリットです。
腹膜透析導入時に,カテーテル留置手術を受けていただき,段階的に腹膜透析を開始するため,約2~3週間の入院が必要となります。腹膜透析開始後は,腹膜透析外来(毎週火曜日)での定期検査や外来診察を受けていただきます。

腎移植診療

当院での腎臓移植の診療体制に変更がありました。

当科では、手術を担当する泌尿器科と連携しながら、腎移植を希望される患者さんの手術前の検査や評価を行っております。そして腎移植を受けられた患者さんの入院中、退院後の免疫抑制薬の調整、高血圧などの生活習慣病の内科的な管理も行っています。
また移植後の患者さんに対して、拒絶反応や薬の副作用、腎炎の再発の診断のために移植腎生検も行っております。移植腎機能が悪くなった場合や、腎機能が安定している場合にも腎臓の状態を確認するために定期的に生検を行うことがすすめられます。検査は通常の腎生検とは異なり、仰向けの状態で移植した腎臓に超音波をあて、腎臓の位置を確認しながら局所麻酔を行い腎臓に針を刺します。入院期間は1泊2日で実施しています。

「包括的腎代替療法」という考え方

以上3つの治療法は,それぞれに長所と短所がありますが,互いに相反するものではなく相補的な役割をもつものです。患者さんそれぞれの背景や生活スタイルに合わせて選択し,時には併用したり移行したりしながら最適な腎代替慮法を行っていくことが理想です。担当医と相談しながら治療を進めていきます。

指定難病の申請に関して

病気には原因がおおよそ分かっており、いろいろな治療法や薬が開発されているものもあります。しかし一方で、原因が分からない、症例が少ないなどのために治療法が確立していない病気もあります。指定難病は、①発病の機構が明らかでなく、②治療方法が確立していない、③希少な疾患であって、④長期の療養を必要とする疾患で、⑤患者数が一定の人数を超えず、⑥客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立している、などの条件をもとに選定されています。

指定難病に認定されると、 ・指定難病の医療費の自己負担割合が従来の3割から2割に引き下げられる ・所得に応じて、医療費の自己負担上限額(月額)が設定される などのメリットがあります。 一方で、指定難病の診断を受けていても、一定の重症度にある患者さんでない「認定」されず、公費助成を受けられない場合もあります。

指定難病の申請に関するおおまかな流れとは以下のようになります。 ・難病指定医を受診し、診断書(臨床調査票個人票)の交付を受ける。 ・診断書と必要書類を合わせて、都道府県窓口に医療費助成の申請をする。

・都道府県で審査を行う。

・認定された場合、都道府県から医療受給者証が交付される。

・指定医療機関を受診し、治療を継続する。
尚、医療受給証は約1年毎に更新の申請が必要となります。
(詳しくは、お住まいの都道府県の窓口にお問い合わせください。)

難病に対する医療費助成の制度改正により、平成27年度から医療助成の対象となる指定難病の対象が拡大されました。これまで医療費助成を受けられなかった病気の方も、受けられるようになる場合があります。

腎臓内科で関係する疾患も、新たに対象となった疾患がありますので、担当医へご相談ください。腎臓内科で関係することが多い疾患は以下のようなものがあります。
・IgA腎症
・紫斑病性腎炎
・一次性ネフローゼ症候群
・一次性膜性増殖性糸球体腎炎
・急速進行性糸球体腎炎
・抗糸球体基底膜腎炎
・顕微鏡的多発血管炎
・IgG4関連疾患
・多発性嚢胞腎
・アルポート症候群
など。

腎臓内科・外来担当医一覧表

初診 太田矩義 初診 桐田雄平 初診 中田智大 初診 石田 良 初診 仲井邦浩
初診、再診 玉垣圭一 初診・再診 草場哲郎 再診 玉垣圭一 再診 桐田雄平 再診 草場哲郎
再診 井田智治 再診 的場弥生 再診 小牧和美 再診 太田矩義 初診・再診 小牧和美
腹膜透析 玉垣圭一 腹膜透析 瀬川由佳
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